2015年
著者:岡山 明
所属:生活習慣病予防研究センター

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要旨

 乳製品は我が国の脂質が少なく塩分が多い伝統的な食習慣を是正するのに大きな役割を果たしてきたと考えられるが、牛乳摂取習慣と循環器疾患危険因子の関連についての包括的な研究はまだない。我々は、2000 年代前半にベースライン調査が行われた岩手県北コホート研究のベースラインデータセットを用いて、牛乳摂取習慣と他の食物摂取の習慣、生活習慣、および循環器疾患危険因子の状況の関連を検討した。解析対象は、19 歳から69 歳の男女、合計14,936 名である。
 男では58%、女では73%の者に牛乳を概ね1 日コップ1 杯以上飲む習慣があった。対象を牛乳摂取頻度により4 群に分け、循環器疾患危険因子の推定平均値を共分散分析により交絡因子を調整し算出した。男女ともに、収縮期血圧値は牛乳を多く摂取する群で有意に低く、血清総コレステロール値、LDL コレステロール値は有意に高かった。HbA1C と牛乳摂取頻度には関連はみられなかった。女性では、牛乳を多く摂取する群でBMI が優位に低値であった。わが国では循環器疾患危険因子の寄与は高血圧が大きく、牛乳摂取が多いことは循環器疾患において予防的に関連している可能性がある。今後、牛乳摂取頻度と循環器疾患予後や要介護状態の発症状況との関連を検討することが可能である。

2017年3月8日