2022年度「牛乳乳製品健康科学」学術研究に採択された名古屋大学大学院 医学研究科 国際保健医療学・公衆衛生学 八谷寛先生の研究成果が、Geriatrics & Gerontology Internationalに原著論文として受理され、公開されましたのでご紹介いたします。


Geriatr Gerontol Int. 2024 Jun 3 (Online ahead of print)
[PMID: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38828856/
 DOI: https://doi.org/10.1111/ggi.14916]

【論文タイトル】
Association between milk consumption in middle age and frailty in later life: The Aichi Workers’ cohort study.

【要約】
目的:高齢者の牛乳摂取がフレイルの予防に有効であることが報告されているが、中年期の牛乳摂取量と、その後老年期に至ってからのフレイル発症との関係は知られていない。これを明らかにする目的で、日本国内のコホートを対象に約15年の追跡調査を行った。

方法:
2002年のベースライン調査に参加し、2018年に60~79歳でフレイル検査を受けた265人(男子212人、女性53人)を解析した。ベースライン調査時の牛乳摂取量を年齢と摂取エネルギー量で調整し、「無摂取(0g/日)」「低摂取(男性は135.86g/日未満、女性は126.44g/日未満)」「高摂取(男性は135.86g/日以上、女性は126.44g/日以上)」の三群に分類した。ベースライン調査時の生活習慣で調整したうえでロジスティック回帰分析を行い、男女それぞれで牛乳摂取各群におけるフレイル/プレフレイル発症のオッズ比(OR)と95%信頼区間を推定した。

結果:
2018年調査時でプレイル/プレフレイルと診断されたのは、男性37.7%、女性28.3%だった。ベースライン調査時の牛乳摂取量とプレイル/プレフレイルの発症頻度について、男性では逆相関が見られた(低摂取:OR 0.34, 95%IC 0.14-0.84、高摂取:R0.31, 95%IC 0.10-0.95; p<0.05)が、女性では有意な関係は見られなかった。

結論:男性の中年期の牛乳摂取は、その後老年期におけるフレイル/プレフレイルの発症頻度と負の相関がある。
 

  • 本研究は2022年度「牛乳乳製品健康科学」学術研究によりおこなわれたものとなります。
▼研究報告書

2024年6月21日