平成30年北海道胆振東部地震によるミルクサプライチェーンへの影響と災害等発生時の対応に関する研究
2019年
著者:清水池 義治
所属:北海道大学
研究成果の要約
本研究の課題は、平成30年北海道胆振東部地震を事例に、全域停電がミルクサプライチェーンに及ぼした影響の分析を通じて、現在実施、あるいは実施されつつある対策の課題を検討することである。
本研究の結果は以下の通りである。第1に、胆振東部地震における地震動の被害は局所的である一方、全域停電は北海道全体へ影響が及んだ結果、ほとんどの乳業工場が稼働を停止し、大量の生乳廃棄をもたらした。第2に、大量の生乳廃棄が発生したものの、酪農家の自家発電機利用はかなりの程度行われた結果、乳牛への負担は最小限度に抑えられ、生乳生産量は概ね1か月以内で回復した。第3に、乳業メーカーの工場稼働の回復は、全域停電で発生した製品・原材料の廃棄や生乳移出能力の限度によって阻害され、生乳生産よりは長期の時間を要した。第4として、既存の対策は酪農家の生乳廃棄を回避する点を一義的に追求している傾向があり、発生する災害の範囲や影響によってはミルクサプライチェーンの全体最適とは矛盾する可能性がある。
本研究の結果は以下の通りである。第1に、胆振東部地震における地震動の被害は局所的である一方、全域停電は北海道全体へ影響が及んだ結果、ほとんどの乳業工場が稼働を停止し、大量の生乳廃棄をもたらした。第2に、大量の生乳廃棄が発生したものの、酪農家の自家発電機利用はかなりの程度行われた結果、乳牛への負担は最小限度に抑えられ、生乳生産量は概ね1か月以内で回復した。第3に、乳業メーカーの工場稼働の回復は、全域停電で発生した製品・原材料の廃棄や生乳移出能力の限度によって阻害され、生乳生産よりは長期の時間を要した。第4として、既存の対策は酪農家の生乳廃棄を回避する点を一義的に追求している傾向があり、発生する災害の範囲や影響によってはミルクサプライチェーンの全体最適とは矛盾する可能性がある。
※2019年度「乳の社会文化」学術研究