2013年
著者:田中景子
所属:福岡大学医学部衛生・公衆衛生学

  • 健康科学
  • 精神・神経・睡眠・脳機能・認知機能

要約

目的:牛乳には必須アミノ酸の一種であるトリプトファンが多く含まれており、睡眠に効果的であるといわれている。しかしながら、牛乳摂取と睡眠との関連に関する疫学研究は存在しない。また、幼児における食習慣に関するエビデンスは非常に少ない。本研究では、前向きコホート研究のデータを活用して、幼児における牛乳摂取および摂取タイミングと睡眠及び社会生活能力との関連について調べた。
方法:睡眠との関連に関する解析では1238名、社会生活能力との関連に関する解析では146名の3歳前後の幼児を対象とした。社会生活能力は、S-M社会生活能力検査を用いて評価した。性別、母親及び父親の教育歴、テレビ視聴時間および屋外活動時間を補正した。
結果:牛乳摂取頻度と平均1日睡眠時間との間には統計学的に有意な差は認めなかった。牛乳摂取頻度が週1回以下に比較して、1日1回及び1日2回以上では、平均夜間睡眠時間は短く、一方、平均午睡時間は長かった。牛乳摂取頻度と社会生活指数との間には統計学的に有意な関連は認めなかった。
結論:今回の結果より、幼児における牛乳摂取と睡眠及び社会生活能力との間に統計学的に有意な関連は認めなかった。今後、牛乳摂取、睡眠、及び社会生活能力に関して、より詳細で客観的な指標を用いた研究が必要であろう。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000jgmy.html

2015年9月18日