2013年
著者:小川英伸
所属:帝京大学 医学部 小児科 准教授

  • 健康科学
  • 乳児・周産期・女性の健康
  • 消化吸収・栄養代謝・乳糖不耐

要旨

完全母乳栄養下の乳児における低カルシウム血症、およびくる病発症予防の基礎的検討のために、授乳婦の食事摂取量を算出、さらに母乳中カルシウムおよびビタミンD濃度を測定し、カルシウム・ビタミンD強化牛乳(強化乳)飲用前後でこれらの変化について検討した。エネルギー、カルシウム、ビタミンDの摂取量はいずれも推奨量よりも少なく、強化乳飲用後にカルシウムとビタミンD摂取量は有意に増加し、カルシウムは全例推奨量に達した。母乳中ビタミンD濃度は低く、強化乳飲用後に1 例で増加がみられた。母乳中カルシウム濃度は欧米白人とほぼ同程度と思われ、強化乳飲用後に全体としては明確な変化はみられなかったが、飲用前に低値だった群では、やや増加傾向がみられた。検体数を増やして検討を重ねる必要があると思われた。
 

2015年9月18日