サルコペニア予防を目的とした牛乳とシンバイオティクスの創出
2022年
著者:岡村拓郎
所属:京都府立医科大学大学院 医学系研究科 内分泌代謝内科学
【要約】
サルコペニアと肥満が合併したサルコペニア肥満は、2型糖尿病の病的特徴である。牛乳がサルコペニア予防に有用であることは、いくつかのヒト試験で示されている。本研究は、db/dbマウスにおけるサルコペニア性肥満の予防に対する牛乳の効果を明らかにすることを目的とした。
雄のdb/dbマウスを用いて、無作為化・医師盲検化試験を行った。8週齢のdb/dbマウスを8週間飼育し、ゾンデを用いて牛乳(100µL/日)を与えた。糞便移植(FMT)群には、6週齢から2週間抗生物質を投与し、その後、16週齢まで週2回FMTを行った。
db/dbマウスへの牛乳投与により、握力および筋肉量の増加、内臓脂肪量の減少が見られ、身体活動量が大幅に増加した。牛乳を与えたマウスのFMTは、サルコペニア型肥満を改善するだけでなく、耐糖能異常も有意に改善した。小腸の遺伝子発現をマイクロアレイ解析したところ、牛乳を与えたマウスでは、アミノ酸吸収トランスポーター遺伝子であるSlc7a5, Slc7a1, Ppp1r15a, SIc7a11の発現が上昇した。腸内細菌叢の16SrRNAシーケンスでは、牛乳を与えたマウスとFMT群の両方で、牛乳を与えたマウスよりAkkermansia属が増加した。
本研究の結果から、牛乳の摂取はアミノ酸などの栄養素の摂取量を増やす以外に、腸内環境も変化させ、牛乳によるサルコペニア肥満の改善メカニズムに寄与している可能性があることが示唆された。
雄のdb/dbマウスを用いて、無作為化・医師盲検化試験を行った。8週齢のdb/dbマウスを8週間飼育し、ゾンデを用いて牛乳(100µL/日)を与えた。糞便移植(FMT)群には、6週齢から2週間抗生物質を投与し、その後、16週齢まで週2回FMTを行った。
db/dbマウスへの牛乳投与により、握力および筋肉量の増加、内臓脂肪量の減少が見られ、身体活動量が大幅に増加した。牛乳を与えたマウスのFMTは、サルコペニア型肥満を改善するだけでなく、耐糖能異常も有意に改善した。小腸の遺伝子発現をマイクロアレイ解析したところ、牛乳を与えたマウスでは、アミノ酸吸収トランスポーター遺伝子であるSlc7a5, Slc7a1, Ppp1r15a, SIc7a11の発現が上昇した。腸内細菌叢の16SrRNAシーケンスでは、牛乳を与えたマウスとFMT群の両方で、牛乳を与えたマウスよりAkkermansia属が増加した。
本研究の結果から、牛乳の摂取はアミノ酸などの栄養素の摂取量を増やす以外に、腸内環境も変化させ、牛乳によるサルコペニア肥満の改善メカニズムに寄与している可能性があることが示唆された。