2018年
著者:加藤 佳子
所属:神戸大学大学院 人間発達環境学研究科

  • 健康科学
  • 精神・神経・睡眠・脳機能・認知機能

【要旨】

目的:本研究の目的は,ストレスフルな状況においても健康を維持することが出来る特徴であるストレスレジリエンスと乳乳製品の摂取との関連を検討することであった。そのために3つの研究を行った。

方法:研究1では,中高生865名(14.6±1.7歳 男子412名 女子453名)を対象に質問紙調査を行った。調査内容は食事調査,ストレスレジリエンス,ストレス反応およびwell-beingであった。研究2では3年間にわたる縦断研究を行った。調査対象者は中学生107名(12.3±0.4歳 男子50名 女子57名)であった。調査内容は食品群別摂取量とストレスレジリエンスであった。研究3では28日間の介入研究を40名の男子大学生を対象に行った。1日2回,乳酸菌飲料を摂取した群と水を摂取した群に分け研究を行った。質問紙調査によりストレスレジリエンス,ストレス反応,不安を評価するとともに,唾液アミラーゼを測定した。測定は合計3回(介入0日め, 14日め, 28日め)行った。

結果:研究1では乳乳製品の摂取はストレスレジリエンスおよびwell-beingと正の相関がみられた。研究2では交差遅延効果モデルを用い構造方程式モデリングにより分析を行った。その結果,乳乳製品の摂取はストレスレジリエンスの予測因子となることが示唆された。研究3ではグループごとに分散分析を行った結果,乳酸菌飲料を摂取した群では介入28日目にストレスレジリエンスの平均得点が有意に高かった。 以上の結果から,青年期の乳乳製品の摂取はストレスレジリエンスに影響していることが示唆された。


2023年11月9日