2015年
著者:岡田 恵美子
所属:北海道大学大学院医学研究科

  • 健康科学
  • 高齢者
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

要旨

 牛乳・乳製品は日本人の食生活において適切な摂取が推奨されている。健康影響を検討する際には、牛乳・乳製品の食品としての影響だけではなくこれらを含む食事全体としての食事パターンの影響を検討する必要がある。また、高齢者の身体活動を客観的に評価し、食事との関連を検討した報告は少ない。本研究では、地域在住の高齢者において、牛乳・乳製品摂取および食事パターンと身体活動量、体力との関連を検討することを目的とした。本研究は日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)との共同プロジェクトとして、JAGES2013 に追加調査を実施した。郵送による調査票調査において、食習慣、身体活動、その他の変数を評価した。
 さらに家庭訪問による訪問調査において、ライフレコーダーを用いた身体活動量、握力を測定した。調査票の食品項目から因子分析を用いてHealthy dietary pattern、Staple food pattern、Noodle and alcohol pattern の3 つの食事パターンを同定した。低脂肪の牛乳・ヨーグルトの摂取量、普通・高脂肪の牛乳・ヨーグルトの摂取量および各食事パターンと、身体活動、歩数、握力との関連を検討した結果、Healthy dietary pattern と総Mets との間に正の関連の傾向があった。牛乳・乳製品の摂取量およびStaple food pattern とNoodle and alcohol pattern は、身体活動と握力との関連を認めなかった。地域在住の高齢者において、野菜やきのこ、海藻を中心とし、牛乳・乳製品も適度に含む食事パターンは全体的な身体活動を高める可能性が示唆された。
 

2017年3月8日