乳製品関連ヘルスリテラシーへのインターネットを用いたeラーニングによる教育効果;無作為化割付けによる検討
2017年
著者:三橋 利晴
所属:岡山大学病院 新医療研究開発センター
研究成果の概要
0.1. 背景
インターネット上で健康情報を検索・収集し、その情報を利用するインターネットユーザは増えている。しかし、インターネット上の健康情報には信頼性に問題があるため、インターネットユーザが情報を正しく判断することが重要になっている。
このため、代表研究者はインターネットユーザがインターネットの情報を活用し自分自身の健康問題を解決できるようにするために、インターネットユーザのヘルスリテラシーを向上させる必要があると考えた。
本研究では、研究対象者を介入群(eラーニングによる教育を実施する)と対照群(eラーニングによる教育を実施しない)に無作為に割り付け、ヘルスリテラシーを比較する事によって、教育のヘルスリテラシー向上への効果を明らかにすることを主要な目的とする。
0.2. 方法
研究デザインは、無作為化比較試験である。まず、Webリサーチ会社を通じてリクルートした研究対象者301人のヘルスリテラシーと個人属性を調査した(ベースライン調査)。その後、ランダムに介入群と対照群に割り付け、2週間のeラーニング学習期間後に、再度ヘルスリテラシーを調査した(フォローアップ調査)。このベースライン調査とフォローアップ調査におけるヘルスリテラシーの差を介入群と対照群で比較した。
評価項目として、eHealth Literacy Scale、評価スキル、態度スコア、Healthy Eating Literacy scaleという4種のヘルスリテラシーを測定した。なお、評価スキルと態度スコアは本研究のために代表研究者が作成した簡易尺度である。
0.3. 結果
eHealth Literacy Scaleでは、介入群のスコア上昇が対照群と比べて有意に大きかった(回帰係数=1.57、95%信頼区間=0.09, 3.05、p値=0.037)。また、評価スキルでも介入群において改善(介入前は「評価スキルなし」だったが、介入後に「評価スキルあり」に変化する)となる割合が有意に多いという結果であった(相対リスク比=2.47、95%信頼区間=1.33, 4.59、p値=0.004)。
0.4. 結論
本研究にはいくつかの弱点があるものの、本研究では、eラーニングによる学習が日本のインターネットユーザのヘルスリテラシーにプラスの効果をもたらしたことを実証することができた。
0.5. 研究分野
ヘルスリテラシー教育
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