2016年
著者:佐藤 ゆき
所属:東北大学大学院医学系研究科

  • 食育・教育
  • 学童

研究成果の概要

 東北地方、九州地方の小学校9 校に在籍している児の保護者に児の食生活に関する調査を実施した。在籍者4,263 名中3,327 名の保護者から協力が得られた(78%)。子どもたちの食生活の実態として、学校が休みになると朝食を食べない割合が約2 倍に増えており、休み期間中に食事を抜く、あるいは食べない習慣が身についてしまわないよう、家庭と連携した食育の必要性が浮き彫りになった。東日本大震災後の子どもが食べるものへの関心度について、保護者の5 人に1人の割合で関心度が高まっていた。実際に子どもに食べさせない食品があったと回答した割合は、東北地方において九州地方の約2 倍であった。特定の食品を食べない期間については東北地方と九州地方でも同様の傾向が示されおり、居住地域によらず震災による子どもの食への影響が生じていることが明らかとなった。また、子どもの食に関する情報源としてメディアが主な情報源であり、保護者が必要としている情報について、より適切な情報を学校側から発信していく余地があるだろうと考えられる。児の食事状況では全体の約56%が家庭で1 日1 回以上牛乳・乳製品を摂っており、朝食時に摂取している割合は全体の43%、うち1 品のみが81%であった。摂るタイミングとして、九州地方で東北地方より夕食時にも牛乳・乳製品を摂る割合が高く、また品目数では東北地方では1 品目摂取が多く、九州地方では2 品目以上摂る児が多かった。子どもの食生活において、牛乳・乳製品を摂るうえで保護者が気にかけていることとしては、健康や栄養補給面としての摂取のほかに、成分や産地についての意見が寄せられた。
 今後は子どもの牛乳・乳製品摂取と社会的背景との関連についての検証をさらに進め、子どもの牛乳・乳製品摂取と健康、安全性等について適切な情報を学校と連携して発信していく、あるいは保護者とともに考えていく食育体制を整えたいと考えている。

研究分野
小児栄養、公衆栄養

※平成28年度「食と教育」学術研究

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キーワード:
震災学童食育乳製品

2018年3月13日