2016年
著者:大森 桂
所属:山形大学学術研究院

  • 食育・教育
  • その他

研究成果の概要

本研究の目的は、栄養教育の先進国である米国において、栄養教育の実施および効果の評価に関わる最新の理論や方法を収集し、さらに米国内においてそれらの理論が実際にどのように活用され、栄養教育が実施されているのかを明らかにすることである。

2016 年8 月から2017 年3 月まで、米国ニューヨーク市を中心に、公立学校における栄養教育の実践や大学における栄養教育の方法論に関する講義等の視察調査および資料の収集・分析を行った。
 
調査の結果、行動変容をねらいとした米国の栄養教育において近年着目されている主な理論としては、Social Cognitive Theory(社会的認知理論)、Self-regulation Models、TranstheoreticalModel(トランスセオレティカルモデル)等があり、Self-efficacy(セルフエフィカシー、自己効力感)とOutcome Expectations(結果期待)は行動変容の動機づけとして大きな要因と考えられていた。また、最新の理論であるDESIGN モデルは6 つのステップで構成され、論理的にかつ効率よく栄養教育のプランを立てられるよう工夫されていた。栄養教育の効果の評価には、従来一般的に用いられている質問紙法の他、端末機を使って回答する方法や聞き取り調査、撮影記録や観察により学校給食の喫食状況を数量的に評価する方法も採用されていた。栄養教育に関する複数のプロジェクトの実際を視察した結果、米国においては、子ども等地域の人々の健康増進のために、行政だけでなく様々なNPO 団体も栄養教育を実施しており、インターネットを活用して教材やカリキュラム、実践例、研修会等の情報も盛んに発信されていた。また、栄養状態の改善にとどまらず、運動習慣の定着や栽培活動の推進等、様々なプログラムが複合的に組み合わされた事業が多く、教育効果の評価に関しては、プロジェクトを主催している団体独自の調査の他、大学機関等と連携して客観的評価を行っているケースも見られた。
 
研究分野
食教育、健康教育
 
※平成28年度「食と教育」学術研究
キーワード:
栄養教育米国評価学校菜園

2018年6月6日