2014年
著者:安達 瑞保
所属:日本体育大学児童スポーツ教育学部

  • 食育・教育
  • 成人

研究成果の概要

牛乳・乳製品の摂取量は、小学校低学年、中学年、高学年の年代では、横浜市の方が、群馬県よりも有意に多く、学校給食以外での摂取量が確保されていた。さらに、横浜市では、完全学校給食が実施されない中学生になると、その摂取量は約2/3 程度にまで明らかに低下したが、高校生期には中学生期の摂取量を維持していた。一方、群馬県の中学生の牛乳・乳製品の摂取量は、学校給食が提供されているにも関わらず、横浜市と同等であった。群馬県では学童期と思春期で牛乳をはじめとする乳製品の摂取量に大きな低下はみられなかったが、高校生期において、その摂取量が有意に低下していた。
踵骨スティフネス値について、横浜市、群馬県の児童、生徒ともに成長にともない、小学校低学年時に比べ、中学年、高学年、中学生期、高校生期で有意に高値を示した。小学校低学年、中学年、高学年では横浜市と群馬県で明らかな差はみとめられなかったが、中学生期になると、横浜市よりも群馬県で有意に高値となった。運動習慣については、横浜市と群馬県の中学生の対象者はすべて学内の運動部活動に所属する運動習慣のある者であった。両群の牛乳・乳製品の摂取量には差がなかったにも関わらず、横浜市の中学生の踵骨スティフネス値は有意に低値を示した。そこで、横浜市の小学生、中学生、高校生について牛乳および乳製品の摂取量の多い者と少ない者、および運動習慣の多い者と少ない者の4 群について踵骨スティフネス値を検討した。牛乳・乳製品が少なく、運動習慣がない者は、運動習慣がある者に比べ踵骨スティフネス値が明らかに低値を示した。
本研究では、学校給食の実施がなくなると乳製品の摂取量の低下が顕著であること、さらに、その摂取量については個人差が大きいこと、踵骨スティフネス値には牛乳・乳製品の摂取量のみならず、運動習慣が影響することが確認された。また、踵骨スティフネス値が中学生期の群馬県で高値となったことから、学校給食の有無により、学童期から思春期への移行期間に牛乳、乳製品の摂取量に大きな変化がなく、継続的に摂取量を維持できていたこと、また、身体活動量の違いが影響している可能性が示唆された。
 
※平成26年度「食と教育」学術研究
キーワード:
小学生中学生高校生骨密度

2016年4月15日