『牛乳から世界がかわる—酪農家になりたい君へ』出版のご案内
2024年10月15日
乳の社会文化ネットワーク会員 小林国之先生(北海道大学大学院農学研究院准教授)が2024年9月9日にご著書を出版されましたので、ご紹介します。
●本書について
なぜ牛乳が余るのにバター不足がおきるのか、牛のゲップと地球の温暖化の関係、リジェネラティブ農業と酪農……など、『酪農を知れば、世界がわかる「座学編」』。酪農家たちの考える「牛に優しい飼い方」とは、農家の仕事と生活をまるごとサポートする農協の役割……『牛乳が生まれる現場を歩けば、見える世界がかわる「実践編」』。2つの学びから食・農・環境の今を探究することができる。漫画付きで酪農に興味がある人すべてにやさしく解説する超入門書!
●目次
【酪農漫画】
1. 酪農という仕事 / 2. 1杯の牛乳から世界が見える / 3. 酪農の歴史 / 4. 乳牛の飼い方 / 5. 乳牛の生活サイクル / 6. 生乳の流通はすごい! / 7. 排泄物は生産物 / 8. 酪農家になるには
【座学編】
◎Lecture1.牛は人間が食べられない「草」を食べて生きている—日本の酪農のお話
草を食べる牛、それを飼う酪農という仕事/日本の酪農は、エサを輸入に頼っている/都会の牛と田舎の牛は役割が違う/脂肪分の高い牛乳を搾るためのエサって?
Column1:こんなに違う! 世界の酪農
◎Lecture2.牛が食べる飼料と、エサを育てる肥料はどこからきている?—自給と輸入のお話
輸入の飼料代が安かったから成立していたけれど……/輸入に頼ることが、食料自給率の低さの要因に?/飼料自給率を計算に入れない「食料国産率」が登場/牛乳は国産だけど、エサはほとんど輸入/「国産」ってなんだろう?/お金さえ払えば、海外から肥料や飼料は買えるのだろうか?/輸入する国に求められる「ふるまい」って?/日本で「酪農を営む」とは、世界の貿易のあり方を考えること
◎Lecture3.バターは不足、でも牛乳は余るのはなぜ?—加工と流通のお話
お母さん牛は毎日、乳を出す/弱い立場の酪農家が「共同販売」をつくるまで/日本は生乳を「牛乳」で飲む割合が高い!/バターと飲用乳では価格が違う!?/「協同の力」でできること/牛乳が余る、でも乳価は上がることもある/酪農家は減ったが約20年をかけて増産/政策でも価格や需要は上下する/生乳の市場構造——国内の生産量と輸入のバランス/生クリームの市場拡大の陰で、バター原料の優先順位が下がる?
Column2:こんなに伸びる! 世界の乳・乳製品の動向
◎Lecture4.牛のゲップはほんとうに環境を破壊しているのか?—酪農と環境のお話
もともと牛は「ふん尿」のために飼われていた!/牛の数を増やしたことで、地球に負担をかけている/牛のゲップが地球温暖化の一因に!?/牛のルーメン(第1胃)の不思議な世界/大気中の寿命が短いメタンの性質を、どう活かす?/環境破壊する動物から、貢献する動物としての牛へ/貴重な資源、ふん尿のさまざまな利用方法/「自然放牧」って自然にも牛にも優しいの?/放牧は良いことが多いように見えるけれど/穀物は牛が食べるべきか、人間が食べるべきか?/環境破壊の対策としての「フードテック」/そもそも、動物を食べる必要はあるのか?
Column3:ふん尿処理の手法
◎Lecture5.牛舎で牛を飼うことは「牛に優しくない」のか?—アニマルウェルフェアのお話
酪農の経済性・合理性をどう考えるか/「工業的な畜産」の行き着くところ/動物福祉を理解する前に、キリスト教的な世界観をおさらい/動物を食べる必要はあるのか? の問いふたたび/生態系からの視点と、動物の権利=アニマルライツ/欧米のアニマルウェルフェア基準と「5つの自由」/牛にとって優しい飼い方とは
◎Lecture6.リジェネラティブ農業の実現に必要なものとは?—酪農・土・地球の未来のお話
農業は地球に悪い影響を与える産業?/リジェネラティブ農業とは/土と微生物と動物—生産性を上げた近代農法のセオリー/雑草は養分を取り合う敵ではなく、仲間だった/土の中に炭素を貯蓄する菌根菌/土の循環に不可欠な、家畜という存在/土壌を豊かにすることが、持続性のある農業に繋がる/「土壌の世界の住人」を中心に農業を考える
Column4:「酪農を知れば、世界がわかる」とはどういうことか?
【実践編】
◎酪農家になりたい! 夢を叶えるために北大へ進学
◎Interview 1 ベイリッチランドファーム
フリーストール牛舎で、乳牛の良さを最大限に引き出す/ロボット搾乳機を使うことで、牛のストレス軽減にも/家族経営の良さとワークライフバランス
◎Interview 2 石田牧場
「酪農ヘルパー」を経て新規就農へ/循環型農業の理想形としての「放牧酪農」/日本一周して「農家が風景を守っている」ことに気づく/酪農に正解はない。だから「枝幸らしい酪農」を追求する
◎Interview 3 ノースプレインファーム
海外の酪農を学んで知った日本との決定的な違い/牛1頭で家族が食べていける酪農って? /生乳にもっと付加価値を! チーズ作りを始める
◎Interview 4 JAけねべつ(計根別農業協同組合)
農家の困りごとを一手に引き受けるのが農協の仕事/牛飼いになるための研修・就農を徹底サポート/農家は協調性が大切、そのチャレンジを応援します!
◎取材を終えて見えてきた、「酪農家」への道!
あとがき—「わかるとかわる」。酪農家になりたい君へ
●書籍情報
出版:農山漁村文化協会(農文協)
初版年月日:2024年9月9日
単行本:四六判 196ページ
ISBN-13:978-4540241017
価格 1,600円+税
▽ご購入は農山漁村文化協会「田舎の本屋さん」や各種オンラインショップをご利用ください。