1967年
著者:森永乳業
所属:森永乳業
雑誌名・年・巻号頁:森永乳業50年史編纂委員会編、森永乳業、1967年、678p

  • 社会文化
  • 歴史

<要約>

 本書は、1917年に日本煉乳株式会社として設立されて以来の森永乳業株式会社のあゆみをまとめている。記述の終わりは1967年3月末日で、同社は本書をまとめた後(67年10月)に、森永商事株式会社の乳製品部門を統合して、現在に至っている。本書の構成は、創立から1949年までを扱う「創業篇」、昭和初期から後を分野別に扱う「パイオニア篇」「販売篇」「酪農篇」、回想録をまとめた「幾山河」、60年代に入ってからの「現況」、そして「年表」である。資史料が少ない時代の業界を知る上で本書は興味深く、また「幾山河」以外の章にも度々挟まれる回想録や座談会の中には、今となっては聞けない貴重な証言が含まれる。さらに創業期から67年にかけてのその時々の広告や商品の写真がふんだんに使われているので、これからは文化的な史料として検討していくこともできよう。
 同社の歴史は、1917年に森永製菓株式会社が千葉県にあった愛国煉乳を買収して日本煉乳株式会社としたことで始まる。当時は第一次世界大戦に伴う物価高であり、製菓原料確保のために明治製糖なども乳業へ進出していた。煉乳部門は、27年に森永煉乳株式会社として森永製菓より分離し、29年には既存のミルク・プラントを買収して新たに牛乳生産へも進出する。大正末から昭和初期にかけては、不況にもかかわらず牛乳需要が伸び、特に大都市では牛乳飲用が普及しつつあった。しかし、過剰な添加物や結核牛などが問題となって規制が強化されたため、牛乳販売業者には殺菌処理や加工を行うミルクプラントの設置が義務付けられていく。従来、大都市で営業していた中小企業は負担に耐えられず、森永・明治の2社に買収・合併されていったのである。第二次世界大戦後、同社はビタミン入りドライミルクや、森永ホモ牛乳(脂肪の粒子を細かく砕き均質化した牛乳)など新商品発売で「黄金時代」を築いたという。また1967年当時にはクリープやアイスクリームの販売も好調であるとして、明るい未来を予測しながら本書は書き終えられている。

<コメント>

資史料が少ない時代の業界を知る上で本書は興味深く、また「幾山河」以外の章にも度々挟まれる回想録や座談会の中には、今となっては聞けない貴重な証言が含まれる。さらに創業期から67年にかけてのその時々の広告や商品の写真がふんだんに使われているので、これからは文化的な史料として検討していくこともできよう。

書籍ページURL
 https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000j5tk.html

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2015年9月21日