2007年
著者:Dong, D., Schmit, T., M. Kaiser, H. M.
所属:Economic Research Service, U. S. Department of Agriculture in Washington D.C. Department of Applied Economics and Management at Cornell University Department of Applied Economics and Management at Cornell University
雑誌名・年・巻号頁:Agricultural and Resource Economics Review, 2007, 36 (2), 253-266.

  • 社会文化
  • マーケティング

<要約>

酪農家は、広告、プロモーション、栄養研究、消費者教育、新製品開発などの牛乳カテゴリーの消費拡大に向けたチェックオフ制度に対し、1983年から合計数十億ドルを拠出している。さらに、1995年にはMilk-PEPを設立し、乳業メーカーが積極的に独自の広告プログラムを展開するようになっている。これらチェックオフ制度に充てられる金額は、毎年3億ドル以上にのぼっており、チェックオフ制度のマネージャー及び関連する人々は、この資金を最大限効率的に活用しなければならない。とりわけ、この資金は広告に対して多額の費用があてられているため、各広告媒体に対する最適な資金配分を検討する必要があろう。
そこで本論では、ニューヨーク州において、牛乳の各広告媒体への支出効果を最大化するモデルをパネルデータから推定する。パネルデータには、1987年から2002年までの期間におけるテレビ、ラジオ、屋外広告、プリント広告の4つの媒体の投資額と、小売業の牛乳需要が含まれており、これらパネルデータから、各広告媒体の広告弾力性を検討した。なおニューヨーク市場における牛乳カテゴリー広告には国家的なものとローカル的なものと2種類が存在する。
その結果、テレビ広告が最も弾力性が高く、次いで、ラジオ、屋外広告、プリント広告であることが明らかになった(計算された弾力性は、テレビ0.057、ラジオ0.005、屋外0.003、プリント0.003)。一方、実際の広告費の割り当てを見ると、例えば1993年と1994年には、全ての費用がテレビに割り当てられていたり、1998年にはラジオとテレビの割り当てがほぼ同額になっていたりと適切な配分がなされていない。本モデルにもとづいて各広告媒体に適切に投資を配分することで、牛乳の売り上げは実質的に1.7%~7.4%向上すると推定されている。このモデルによって、チェックオフ制度にかかわる組織のマーケティング努力や費用を最適化することが可能になるであろう。

<コメント>

牛乳・乳製品の消費拡大においては、コミュニケーションが極めて重要なことは言うまでもない。コミュニケーション・ツールとしては多くのメディアがあり、そのメディア・ミックスこそが重要である。その前提として効果測定は重要であり、相乗効果などはもちろんのこと、消費者心理の変数を用いた測定にまで踏み込む必要があると思われる。この辺りの議論が増えていくことが今後望まれる。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000lg1w.html

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2015年9月21日