搾乳の開始時期推定とユーラシア大陸乳文化一元二極化説 [Archaeological estimation of origin of milking in the Eurasian Continent and monism-bipolarization hypothesis ]
2011年
著者:平田 昌弘
所属:帯広畜産大学畜産科学課
雑誌名・年・巻号頁:酪農乳業史研究 5号.2011年3月.pp1-12
<要約>
本論文は、家畜化と乳利用の起原についての知見をまとめる上で、ユーラシア大陸における乳加工技術の発達史とその課題について論じることを目的としている。搾乳し、乳利用することで、ヒトは家畜に生活の多くを依存し、牧畜という新しい生業が始まった。牧畜に関する考古学的検証が難しい状況にあるが、紀元前7年頃には乳利用の開始が西アジアにおいて行われたことが明らかで、アジア大陸では最も古いと推測する。「搾乳・乳利用は西アジアに起源し、西アジアから中央アジアや北アジアなどの周辺地域に搾乳と乳加工技術・乳利用とが伝播した」との仮説が提議できる。乳加工技術は、クリーム分離によるバター加工、バター加熱によるバターオイル、アルコール添加での凝固乳等の製法は北ユーラシア大陸で、生乳の酸乳化、酸乳のチャーニングやレンネットの利用による凝固は南ユーラシア大陸で見られている。古代乳製品・乳加工技術の再現実験を始めており、乳文化の一元二極化説を改めて検証したいと考えている。
キーワード:起原、西アジア、乳加工体系、牧畜、冷涼性
<コメント>
牧畜の起原論を探るため、ユーラシア大陸の中で、西アジアの地域性や食文化、乳加工技術の歴史的変化について論じている。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000j5tk.html
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