2012年
著者:水野眞佐夫
所属:北海道大学大学院教育学研究院人間発達科学分野

  • 社会文化
  • 食文化・食生活

はじめに

1.問題意識
少子化超高齢化社会への道を歩むわが国において、からだと心の健康の保持増進のために運動習慣の形成が重要であることが政策として決定されており(健康づくりのための身体活動基準2013、厚生労働省、2013年)、また、スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる社会の構築が求められている(スポーツ基本計画、文部科学省、2013年)。身体運動・スポーツを媒介としての個々の健康的生活習慣の構築を可能とする力量形成は、家庭、学校教育、職場、地域社会などを含む幅広い生活領域を抱合している。牛乳乳製品に代表される高タンパク質栄養と身体運動・スポーツとを組み合わせること。そして、その飲用タイミングにより運動が誘導する悪影響を抑えると共に、トレーニング効果を高めることがこれまでの一連の研究にて明らかにされてきている(1-6)。その一方で、これらの科学的研究成果が健康教育において取り上げられ、国民の日常生活での運動実践に応用されているかどうかについての科学的評価は不十分である。つまり現状においては、牛乳乳製品の摂取に関わる科学的成果が十分に健康づくりに反映されていないと予想できる。このことからも、健康教育における食生活の栄養指導とは異なる視座による身体運動・スポーツ実践と連動した牛乳乳製品の新たな社会的・食文化的意義に関わる新たな研究に対する期待は大きいと推察される。
2.研究の目的
本研究は、大学生と中高齢者を対象として、(1)牛乳乳製品の飲用を身体運動・スポーツと組み合わせることによる健康科学的効果と、より有効な摂取タイミングについての認知状況及び認知経路(2)日常生活にでの運動・スポーツ場面における牛乳乳製品飲用の実践状況について、定量的調査(アンケート調査)により分析することを目的とした。本調査研究の成果は、日常の運動・スポーツへの取り組みとタイミング良い効果的な牛乳乳製品飲用とを連動させる健康教育プログラムの構築に資するものである。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000hclf.html

2015年9月21日