牛乳由来の新しい精神的ストレス緩和ペプチドの作用機構に関する研究
2010年
著者:大日向耕作
所属:京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻
要約
これまで我々は牛乳タンパク質の一次構造中に数多く存在するジペプチドTyr-Leu(YL)が強力な精神的ストレス緩和作用(抗不安作用)を示すことを見出している。さらに、YLの構造-活性相関を高架式十字迷路試験とオープンフィールド試験により検討したところ、Trp-Leu(WL,0.1mg/kg,i.p.)など、(芳香族アミノ酸)-Leuという構造のジペプチドが強力な抗不安作用を有することを明らかにした。さらにWLは経口投与(0.3mg/kg)でも有効であった。次に、WLのメディエーターを検討した。WLの抗不安活性は、セロトニン5-HT1A受容体、ドーパミンD1受容体およびγ-アミノ酪酸(GABA)A受容体に対するアンタゴニストで完全に阻害された。なお、μおよびδオピオイド受容体のアンタゴニストや、シクロオキシゲナーゼの阻害剤によっては阻害されなかった。したがって、WLは、YLと同様に、5-HT1A、D1およびGABAA受容体の活性化を介する新しい情報伝達経路を介していると考えられる。なお、YLやWL、FLなどの(芳香族アミノ酸)-Leu配列は、牛乳タンパク質の一次構造中に多数存在することから、牛乳のストレス緩和作用に潜在的に寄与している可能性が考えられる。
さらに、YL配列を有するトリペプチドについて抗不安作用を検討したところ、N-末端側への鎖長延長は活性を著しく低下させるが、C末端側への鎖長延長は許容されることが判明した。実際、牛乳タンパク質由来のTyr-Leu-Glu(YLQ)やTyr-Leu-Tyr(YLY)が抗不安作用を示した。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022nlp.html
さらに、YL配列を有するトリペプチドについて抗不安作用を検討したところ、N-末端側への鎖長延長は活性を著しく低下させるが、C末端側への鎖長延長は許容されることが判明した。実際、牛乳タンパク質由来のTyr-Leu-Glu(YLQ)やTyr-Leu-Tyr(YLY)が抗不安作用を示した。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022nlp.html
- キーワード:
- 精神的ストレス緩和作用牛乳タンパク質ペプチド