2010年
著者:中村和利
所属:新潟大学大学院医歯学総合研究科地域予防医学講座

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要旨

カルシウムは、日本人に不足している最も代表的なミネラルであるが、日本人閉経後女性のカルシウム低摂取の骨への影響を明らかにした疫学研究は少なく、介入研究は見られない。本研究の目的は、ランダム化比較試験(RCT)のデザインを用いて、カルシウム摂取量増加の骨量低下抑制作用を検証することである。閉経後女性450人のボランティアを募り、次の3群のいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、1)カルシウム250mg/日を服用する群(150人)、2)カルシウム500mg/日を服用する群(150人)、3)プラセボを服用する群(150人)である。2008年11月にベースライン医学検査を行ない、2010年11月に2年後最終検査を行なった。アウトカムは大腿骨近位部および腰椎骨密度、血中副甲状腺ホルモン、オステオカルシン、Type I collagen cross-linked N-telopeptides濃度であった。最終中間医学検査では、425人(94.4%)が参加した。平均の錠剤服用コンプライアンスは83.7%であった。治療企図分析により、カルシウム500mg/日付加群の2年後骨密度の低下がプラセボ群の骨密度の低下より有意に小さかった。また、実行説明分析によりカルシウム250mg/日および500mg/日付加群の骨密度の低下が、プラセボ群の骨密度の低下より有意に小さかった。カルシウム付加の大腿骨近位部への影響は見られなかった。結論として、日本人閉経後女性に対するカルシウム250~500mg/日の付加は腰椎骨密度低下を抑制することが明らかになった。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022nlp.html 
キーワード:
介入試験カルシウム骨粗鬆症予防骨密度

2015年9月18日