2008年
著者:日高宏哉
所属:信州大学医学部保健学科検査技術科学

  • 健康科学
  • その他

要約

リン脂質はリポ蛋白の主要構成成分であるが、最近では種々の機能を持つ機能性脂質であることが注目されている。牛乳摂取による脂質の吸収、代謝を検討するため、健常者男性ボランティア12名に500mlの市販牛乳を摂取させ、摂取前、摂取後30分、1時間、2時間の血清脂質濃度を測定した。次いで摂取前、摂取後2時間のリポ蛋自分画をおこない、リポ蛋白特にリン脂質(PL)リッチな高比重リポ蛋白(HDL)中のPLを構成する脂肪酸側鎖の異なる分子種およびリゾ体の分布を検討した。血清PL、総コレステロール(TC)は1時間値、ホスファチジルコリン(PC) は1時間値、2時間値で有意に増加したが、スフィンゴミエリン(SM) は30分値、1時間値、2時間値で有意に減少した。また2時間値では、リン脂質濃度は摂取前に近い濃度に戻っていたが、被験者の血清トリグリセライド(TG)濃度に関連して、各リポ蛋自分画の粒子サイズの変化が検出された。このとき、脂肪酸側鎖の異なるPC分子種の比率およびPCとリゾ体の比率の変化が認められた。健常者の牛乳摂取により、リポ蛋白中のリン脂質濃度、リン脂質亜分画およびその構成分子種は大きく変化をしており、その変化は被験者の血清TGすなわちTG代謝の差により異なっていることが見いだされた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001ahym.html
キーワード:
リン脂質ホスファチジルコリンスフィンゴミエリン

2015年9月18日