2008年
著者:長谷川信
所属:神戸大学大学院農学研究科

  • 健康科学
  • リラックス安眠効果

要約

我々は、これまでに牛乳に含まれるα-ラクトアルブミンがグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の遺伝子発現を促進すること、及び、GLP-1は中枢神経系における入眠促進作用にα-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)を介して入眠を促進することを示唆している。本研究では、牛乳による入眠促進機構の全容解明を最終目的として、GLP-1が関与する入眠促進機構の更なる解明と、α-ラクトアルブミンから産生される入眠促進ペプチドの検索を行うこととした。その結果、GLP-1及びα-MSHの鶏中枢への投与による入眠の促進及び摂食量の紙下は、ノルアドレナリン合成系の律速酵素の阻害剤であるα-メチル-p-チロシンの前投与により影響を受けなかったことから、GLP-1によるα-MSHを介した入眠促進はノルアドレナリンの合成促進に基づくものではないことが示唆された。又、β-アドレナジン受容体(松果体におけるノルアドレナリンのシグナル伝達に関与)のアンダゴニストであるプロプラノロールの前投与は、GLP-1及びα-MSHによる入眠の促進及び摂食量の低下を緩和したことから、GLP-1によるα-MSHを介した入蹴保進は、s-アドレナリン受容体を介することが示唆された。α-ラクトアルブミン酵素分解物をゲルろ過クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分画した9つの分画画分の内の2つの画分が初代培養小腸細胞において、GLP-1の前駆体であるプレプログルカゴンmRNA量を増加させた。これらのことから、α-ラクトアルブミン酵素分解物中に複数のブレプログルカゴンの遺伝子発現を促すペプチドが存在することが示唆された。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001ahym.html
キーワード:
GLP-1MSHα-MPTプロプラノロール

2015年9月18日