2007年
著者:中村和利
所属:新潟大学大学院医歯学総合研究科 地域予防医学講座社会・環境医学分野

  • 健康科学
  • 乳児・周産期・女性の健康
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

要旨

日本人のカルシウム摂取量は低いが、その骨代謝、特に骨質に与える影響は十分明らかにされていない。本研究は、閉経後女性を対象に、カルシウム摂取量の骨質への影響を明らかにすることを目的とした。対象者は地域で自立した閉経後女性595人であった。カルシウム摂取量は半定量的食物摂取頻度調査法により推定した。骨質を反映する骨代謝マーカーとして、血中I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX,骨吸収マーカー)とオステオカルシン(OC,骨形成マーカー)を測定した。その他の測定項目は基本属性、ライフスタイルなどであった。平均年齢は64.5歳(SD,5.8)であった。カルシウム摂取量の平均値は527mg/day(SD,160)であった。カルシウム摂取量と血中NTXとには負の関連(P=0.0104)が見られたが、カルシウム摂取量とOCに関連は見られなかった。カルシウム摂取量4分位における最下位4分位群(Q1,<417mg/day) の血中NTX濃度(22.6nmolBCE/L)は、最上位4分位群(Q4,≧619mg/day)の血中N立濃度(20.2nmolBCE/L)より有意に高かった。自立した閉経後女性において低カルシウム摂取は骨質低下に関連している。特にカルシウム摂取量がおおよそ400mg/dayに満たない群は明らかに骨吸収が進んでおり、カルシウム摂取量増加が必要である。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a9vl.html
キーワード:
カルシウム骨質骨代謝マーカー女性

2015年9月18日