2007年
著者:大日向耕作
所属:京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻 食品生理機能学分野

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防
  • 分析・その他基礎研究

要約

牛乳タンパク質の酵素消化によって派生する種々の生理活性ペプチドから摂食調節ペプチドを探索した。α-ラクトアルブミン由来のGly-Lue-Phe(GLF)、およびβ-ラクトグロブリン由来のニューロテンシンアゴニスト His-lle-Arg-Leu (HIRL,β-ラクトテンシン)をマウスに腹腔内投与(100mg/kg)することにより、用量依存的な摂食抑制作用を示すことを初めて見出した。このうちβ-ラクトテンシン(500mg/kg)は、経口投与により有意な摂食抑制作用を示すことを見出した。さらに、β-ラクトテンシンは30-60nmol/mouseの脳室内投与により用量依存的な摂食抑制作用を示すとともに、60nmol/mouseの脳室内投与により胃排出能(gastric emptying)を抑制することを明らかにした。したがって、本ペプチドの摂食抑制作用は、胃排出の遅延による可能性が考えられる。β-ラクトテンシンは牛乳タンパク質由来の経口投与で有効な摂食抑制ペプチドとしては初めての例であり、今後のより詳細な検討が必要である。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a9vl.html
キーワード:
乳タンパク質食欲調節生理活性ペプチドβ-ラクトグロプリン

2015年9月18日