2007年
著者:西基
所属:北海道医療大学生命基礎科学講座

  • 健康科学
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

要旨

2007年9月から10月にかけて、札幌市立の小中学校の偶数学年の児童生徒に、自記式アンケートによる生活調査と、連続する金曜・土曜の2日聞に摂取した食事をすべて記載させる食事調査を実施した。4つの学年通算で2,279人を対象とし、1,822人から有効回答を回収できた(回収率 79.9 %)。
生活調査においては、牛乳とヨーグルトを含む諸食品に対する好みを質問した。牛乳が「大好き」もしくは「まずまず好き」とした者は、男子ではどの学年も約8割だったのに対し、女子では小2では約75%だったのが、学年が進むにつれて次第に低下し、中2では約6割となった。しかし、「大好き」とした者の割合は、男女とも小2から中2にかけ数ポイント程度の下落にとどまり、幼少期に「大好き」だった者は、その後も「大好き」な状態が維持されると考えられた。
ヨーグルトを「大好き」もしくは「まずまず好き」とした者は、男女とも、いずれの学年も約9割で、変化が少なかった。ヨーグルトに関しては、年齢とともに全く嫌いになっていく者は多くないと考えられた。
牛乳が「大好き」と回答した者は、「体がだるい」「いらいらする」などの訴えが少なく、齲歯になったことがない者も多かった。ヨーグルトが「大好き」とした者は、腹痛の訴えなどが少なかった。これらを「大好き」とした者のBMIを全国平均と比較すると、有意に大きい結果は得られず、牛乳やヨーグルトが肥満をもたらすとは考えられなかった。
金曜も土曜も、男女とも、全学年において、牛乳の噌好とカルシウム摂取量中央値・乳製品摂取量中央値はほぼ単調な比例関係にあった。土曜は男女ともすべての学年で、牛乳が「大好き」以外の群では、カルシウム摂取量は400mgに達していなかった。しかし、「大好き」群においては、すべての学年で男女とも、400mg以上摂取されていた。土曜は、中2においては男女とも、「大好き」以外の群において、乳類・乳製品摂取はOに近かったのに対し、「大好き」群は男女とも150g以上摂取しており、差が大きかった。
給食のない土曜・日曜や長期休暇においては牛乳摂取量が低下し、このためにカルシウム摂取量が低下することは、将来の骨粗鬆症の発症リスクを高めると考えられ、土曜・日曜や長期休暇など、給食のない期聞における牛乳等摂取が勧奨されるべきと思われた。
牛乳等の好みについては、幼少期の噌好がそれ以後も保たれる、と解釈すべきと思われ、乳幼児健診などの機会に、母親も巻き込んで牛乳飲用等を「刷込む」ことが手段の1つと思われた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a9vl.html
キーワード:
:牛乳ヨーグルト小中学生食事調査

2015年9月18日