月経前緊張症に対する乳製品治療効果の検討
2006年
著者:福岡秀興
所属:東京大学大学院医学系研究科発達
概要
月経前緊張症(premenstrual tension syndrome : PMS)は、多くの女性にみられる女性特有の疾患であるが、有効な治療がないとして積極的な対応が難しく治療を受ける患者は少ない。本疾患は黄体期の月経前3-10日に、精神的または身体的な種々の症状が起こり、月経が来ると消失するもので、有経女性の約40%にある(約1200万人前後と推定)。器質的な精神疾患とすら思われる重篤な症状を呈するものをpremenstrual dysphonic syndrome(PMDD)といい、PMSの約5%にある。症状は多彩で、150以上も報告されており、精神症状、身体症状よりなる。イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着かない、憂鬱、食欲亢進、気分の変調、不安感等である。体重の増加、浮腫を主な症状とする場合もある。発症年齢は18-48歳に分布しているが、40歳代から更年期にかけて比較的多く発症している。QOLは著しく阻害される場合があり、家庭内・仕事場等で周囲へ与える影響も大きい。
原因は栄養、物質代謝の異常といわれ、非選択的セロトニン取り込み阻害剤系の抗うつ薬などを含め歴史的には300以上の治療法が考案されてきたが、大部分治療効果が無いとされている。唯一Caの大量投与のみが、体重増加を抑制し、心理状態、身体症状に治療効果を示しており、本疾患にはCa代謝異常があると想定されてきた。Ca摂取不足があってPMSが生じていると考えて、昨年はCa及びビタミンD投与を試み、有効な結果が得られた。本年は3ヶ月間、Ca単独、ビタミンD単独または両者併用を行いその効果の検討を試みた。ところが、乳製品の摂取は困難であり、脱落例が多く、その継続は困難であった。その為Ca剤に切り替えて、再検討を試みた。また食事アンケート調査ではPMS 群と対照群にはCa、燐酸、ビタミンDの摂取量に差は無かった。Ca・ビタミンD併用投与群でPMSの著しい軽減効果が認められた。この結果より、PMSはCaとビタミンDの併用療法が望ましい治療法であるが、その作用機序としてCa代謝以外への影響が想定される。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a8l5.html
原因は栄養、物質代謝の異常といわれ、非選択的セロトニン取り込み阻害剤系の抗うつ薬などを含め歴史的には300以上の治療法が考案されてきたが、大部分治療効果が無いとされている。唯一Caの大量投与のみが、体重増加を抑制し、心理状態、身体症状に治療効果を示しており、本疾患にはCa代謝異常があると想定されてきた。Ca摂取不足があってPMSが生じていると考えて、昨年はCa及びビタミンD投与を試み、有効な結果が得られた。本年は3ヶ月間、Ca単独、ビタミンD単独または両者併用を行いその効果の検討を試みた。ところが、乳製品の摂取は困難であり、脱落例が多く、その継続は困難であった。その為Ca剤に切り替えて、再検討を試みた。また食事アンケート調査ではPMS 群と対照群にはCa、燐酸、ビタミンDの摂取量に差は無かった。Ca・ビタミンD併用投与群でPMSの著しい軽減効果が認められた。この結果より、PMSはCaとビタミンDの併用療法が望ましい治療法であるが、その作用機序としてCa代謝以外への影響が想定される。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a8l5.html
- キーワード:
- 月経前緊張症二次性副甲状腺機能亢進症ビタミンDCa