2006年
著者:細 井 孝 之
所属:国立長寿医療センター先端医療部

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

要旨

本研究は、ラットを用いたin vivo 系を用いて、牛乳中に含まれている二糖類である乳糖(ラクトース)による減量・抗肥満作用について生体内での効果を明らかにすることを目的とした。
6週齢SD 系雌ラット(34匹)について
① Control 食群(Cont.)、
② Control 食のコーンスターチのうち、飼料重量の10%をラクトースに置き換えたラクトース10%食群(Lac.)
③ Control 食のコーンスターチのうち、ラードに置き換え、脂質エネルギー比率を40%に調整した脂質40%食群(High fat)
④ Control 食のコーンスターチのうち、ラードに置き換え、脂質エネルギー比率を40%に調整した脂質40%食群(High fat)にさらに飼料重量の10%をラクトースに置き換えた脂質40%・ラクトース10%食群(High fat Lac.)
の4 群に分けた。飼育期間中、体重を2日おきに測定した。84 日間飼育した。
High fat群の最終体重は、Cont.群に比べて有意な高値を示し、High fat Lac.群は、High fat群に比べ、有意な低値を示した。一方、Lac.群とCont.群間には有意な差はみられなかった。また、小腸粘膜サンプルよりmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ法により、遺伝子レベルの発現量を比較した。ラクトース投与により発現が2倍以上増強される遺伝子が48 個確認された。一方、ラクトース投与によってmRNA の発現が抑制される遺伝子が37個確認された。本研究の結果は、ラクトースが高脂肪食において体重増加を抑制している可能性および小腸遺伝子発現に影響を及ぼしていることを示唆した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a8l5.html
キーワード:
牛乳乳製品乳糖脂肪

2015年9月18日