2005年
著者:日高宏哉
所属:信州大学医学部保健学科検査技術科学

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

最近、生体微量金属が生活習慣病や消化器疾患など多くの疾患と関連していることが注目されている。牛乳はミネラルをはじめアミノ酸やビタミンなどを豊富に含有し、生体に必要な微量栄養素の摂取に適している。今回、牛乳の摂取による生体微量金属の吸収や血清中での分布や動態について、牛乳の摂取後に経時的に採血し、血漿中の生体微量金属およびアミノ酸の濃度変動およびその存在様式を検討した。
牛乳摂取により、血清中のカルシウムと無機リンは有意な増加を示したが、鉄は減少した。マグネシウムや銅は大きな変動はなかったが、亜鉛では摂取後30分後に増加する群と減少する群に分けられた。血清亜鉛は、マグネシウムと正の相関関係を示した。鉄や銅とも正の相関傾向にあったが有意ではなかった。血清を分子量約10,000の限外フィルターで高分子を除外したろ液中の亜鉛濃度は、牛乳摂取30分後に有意に減少(p<0.05)したのち、摂取前の濃度またはそれ以上に増加した。アミノ酸はメチオニンやフェニルアラニンなど摂取後は増加傾向を示したが、ヒスチジンやシステインでは減少傾向を示すものがあり有意ではなかった。血清中の亜鉛は、約75%はアルブミンと結合してい約20%は高分子蛋白と結合していたが、約5%はアミノ酸またはペプチドと結合しており、遊離型はほとんど検出されなかった。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/8d863s000006ur12.html
キーワード:
アミノ酸生体金属アミノ酸分析ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)

2015年9月18日