月経前緊張症に対する牛乳治療効果の検討
2005年
著者:福岡秀興
所属:東京大学大学院医学系研究科
概要
月経前緊張症(premenstrual tension syndrome : PMS)は、月経3-10日前から出現し月経の始まりと共に消失する多様な症状を呈する疾患である。月経のある女性の約40%にあると言われており、日本では約1200万人前後の患者がいると推定されている。多彩な症状があり、精神症状、身体症状よりなる。イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着かない、憂鬱、食欲亢進、気分の変調、不安感等である。QOLは著しく阻害され、家庭内・仕事場などでの周囲へ与える影響も大きい。
300以上の治療法が考案されてきた。非選択的セロトニン取り込み阻害剤系抗うつ薬、ブロモクリプチン、カイロプラクティック療法、GnRHアゴニスト、チボロン投与等の多様な治療が試みられているが、システマティック・レビユーでは、大部分治療効果が無い。ところがCaの多量投与のみが治療効果を示している。そこでPMSは二次性副甲状腺機能亢進症であるか否か、Ca剤のみで治療効果があるか否の検討に加え、骨密度、iPTH,25(OH)Dの測定を行った。PMSと診断されインフォームドコンセントを得られた患者に対し、牛乳1日400ml飲用とCa400mg/日及びビタミンD3 4μg/日投与の検討を行った。しかし牛乳の飲用は脱落例が多く中止せざるを得なかった。Ca及びビタミンD投与はPMSスコアの著しい改善を生じ、有効な治療法の無い本疾患に対するの新しい治療法となり得る可能性が得られた。しかしiPTH,25(OH)Dは対照群と差はなく、骨密度(L2-4)にも差は認められなかった。この結果より従来言われてきたPMSは二次性副甲状腺機能亢進症である可能性は低いことが示唆された。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/8d863s000006ur12.html
300以上の治療法が考案されてきた。非選択的セロトニン取り込み阻害剤系抗うつ薬、ブロモクリプチン、カイロプラクティック療法、GnRHアゴニスト、チボロン投与等の多様な治療が試みられているが、システマティック・レビユーでは、大部分治療効果が無い。ところがCaの多量投与のみが治療効果を示している。そこでPMSは二次性副甲状腺機能亢進症であるか否か、Ca剤のみで治療効果があるか否の検討に加え、骨密度、iPTH,25(OH)Dの測定を行った。PMSと診断されインフォームドコンセントを得られた患者に対し、牛乳1日400ml飲用とCa400mg/日及びビタミンD3 4μg/日投与の検討を行った。しかし牛乳の飲用は脱落例が多く中止せざるを得なかった。Ca及びビタミンD投与はPMSスコアの著しい改善を生じ、有効な治療法の無い本疾患に対するの新しい治療法となり得る可能性が得られた。しかしiPTH,25(OH)Dは対照群と差はなく、骨密度(L2-4)にも差は認められなかった。この結果より従来言われてきたPMSは二次性副甲状腺機能亢進症である可能性は低いことが示唆された。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/8d863s000006ur12.html
- キーワード:
- PMS(月経前緊張症)二次性副甲状腺機能亢進症PMSスコアビタミンD