2004年
著者:伊木雅之
所属:近畿大学医学部公衆衛生学

  • 健康科学
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

本研究の背景

 超高齢社会を間近に控え、骨粗鬆症は公衆衛生的にも医療経済的にも極めて重要な問題になっている。その予防策は最大骨量の最大化と閉経後骨量減少の最小化である。しかし、これまでの対策は後者に偏重し、より重要性が高い前者が欠落しているのが現状である。この原因は、骨量獲得期の中学生や高校生を対象とした具体的な予防対策を開発するための研究が事実上行われていないことにある。我々が平成9年および10年に実施した橈尺骨骨密度測定では、高校生女子の骨密度はほとんど増加せず、しかも成人の平均値より8%低い結果であった。これは骨折の生涯リスクが約2倍になることを示している。現在、緊急に必要なことは若年者の骨量とその変化の実態を明らかにし、骨量獲得期にできるだけ大きな最大骨量を獲得するための効果的な対策を立案、実施することである。
本調査では、高齢者のQOLを障害し、要介護老人の原因となる骨折・骨粗鬆症を予防するため、最大骨量獲得期にあたる中学生や高校生を対象に、これまでまったく手つかずであった若年者の腰椎および大腿骨頚部における骨密度の変化の様相とその決定要因を明らかにし、最大骨量をできるだけ大きくする実行可能で有効な方策を開発する。特に、高校生における骨密度発達の停滞に鑑み、その対策として牛乳摂取の意義を検討して、中学・高校における牛乳給食の提供の必要性を検証する。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/8d863s000004dmbk.html

2015年9月18日