2003年
著者:広田孝子
所属:辻学園中央研究室

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

日本人の肥満は増加傾向にある一方、若い女性においては痩身願望から、るい痩が増えている。痩せているにも関らず体脂肪量は少なくない。彼女たちはダイエット(食事制限)で体重を減少させることばかりに注意を払い、体脂肪の減少についてはほとんど注目していない。加えて、極端な食事制限による栄養の欠乏やアンバランスについても留意しない。そこで、日本人に最も不足しているカルシウムに焦点を当て、牛乳を4ヶ月のダイエット期間中に摂取させることで脂肪量(率)や筋肉量にどのような影響を与えるのか検討した。同時にウエスト/ヒップ比、血中脂質、血圧の変化も観察した。
女子学生40名(18-33歳)を1日200ml以上の牛乳摂取する者(牛乳摂取群)と牛乳摂取を強要しない者(コントロール群)に分類し、4ヶ月のダイエット(減量)を実施した。ダイエット方法は、食事と運動によるものとし、個別に栄養指導を行った。ダイエット開始前・後に二重エネルギーX線吸収法(DXA法)を用い、体脂肪、筋量、骨量、骨密度などの体組成の変化を観察した。
コントロール群、牛乳摂取群ともダイエットによる体重減少が認められた。休脂肪量については牛乳摂取群で有意な減少、筋量の有意な増加が観察されたものの、コントロール群では変化が認められなかった。また、牛乳摂取群ではウエスト/ヒップ比および血圧(最低血圧)の低下が観察されたが、コントロール群では認められなかった。骨量、骨密度、血中脂質、血糖、ヘモグロビンにおいて両群ともダイエット後の変化は認められなかった。
これらの結果から、ダイエット中に牛乳を摂取することにより体脂肪の減少、筋量の増加、ウエスト/ヒップ比の低下、血圧を降下させる可能性が示唆された。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021cbk.html 
キーワード:
ダイエット牛乳摂取体脂肪量筋量

2015年9月18日