牛乳タンパク質による腸細胞成長調節とその感染予防及び治療への応用
2003年
著者:金丸義敬
所属:岐阜大学農学部
要約
ヒトロタウイルスの経口接種によって引き起こされる乳飲みマウスの下痢症において、感染後の牛乳α-ラクトアルブミン(α-LA)の経口投与が回復期間の短縮をもたらすことが示された。α-LAの作用は、不都合な状態に陥った腸細胞の速やかな除去にあると推察される。一方、もう一つの主要牛乳乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリン(β-LG)は、ラット小腸由来培養細胞であるIEC-6の増殖に関して促進もしくは阻害の作用を示した。促進作用は無血清培養条件下で、また、阻害作用は高濃度FCS含有条件下で、それぞれ顕著に認められた。促進作用は生理条件下で二量体化するβ-LGに起因し、一方で、阻害作用は、生理条件下でさらに会合し、SDS-PAGEでは37kDaバンドを示す成分を含むオリゴマー化したβ-LGに起因すると考えられた。このβ-LGオリゴマーの細胞増殖阻害作用は、増殖の一時的停止であり、細胞の殺傷ではなかった。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021cbk.html
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- キーワード:
- α-ラクトアルブミンβ-ラクトグロブリンIEC-6細胞ロタウイルス下痢症