2003年
著者:日高宏哉
所属:信州大学医学部保健学科検査技術科学

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

要旨

動物脂肪の摂取過多が、血援中の脂質の上昇すなわち高脂血症を引き起こし、さらに動脈硬化症を発症することは明らかである。そのため、牛乳の摂取が、肥満や血中脂肪の増加と関連があるのではというネガティブな印象を与えている。以前の牛乳摂取実験において、通常量の摂取では血漿脂質濃度の上昇はほとんど認められないと報告されている。しかしながら、牛乳摂取実験の多くはその摂取量と血漿脂質濃度との関係を論じたもので、牛乳の摂取が血漿中のリポ蛋白に及ぼす影響についての詳細は明らかでない。
今回、我々は通常脂肪牛乳と無脂肪牛乳の摂取による血漿リポ蛋白の量的および質的な変動を検討し、牛乳摂取の脂質代謝への影響を検討した。本研究により、健常人において通常脂肪牛乳摂取(1日、500mlを2週間摂取)では、血漿脂質濃度および組成に大きな差は認められなかったが、血漿脂質中の不飽和脂肪酸比率が増加し、組成の変化が認められた。また、無脂肪牛乳摂取群では、血集中の中性脂肪(TG)の減少やLDL粒子サイズの改善傾向が認められ、apoEの変動は認められなかったことから、TG代謝の改善およびLDLの小粒子化抑制に影響することが考えられた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021cbk.html
キーワード:
リポ蛋白コレステロール/TG染色ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)脂肪酸組成

2015年9月18日