2003年
著者:新木敏正
所属:昭和大学歯学部生化学

  • 健康科学
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

要約

骨の内部では、骨芽細胞と破骨細胞によって常に骨基質の吸収と形成が繰り返されている。本研究では、骨芽細胞と破骨細胞によって営まれる骨の代謝に骨の主成分であるカルシウムがどのような役割を果たしているのか解析した。マウスの骨髄細胞と骨芽細胞を共存培養すると、ごく少数の破骨細胞が形成された。しかし、高濃度のカルシウムや、細胞内カルシウム上昇剤であるイオノフォア(A23187)で処理すると、濃度依存的に破骨細胞の形成が増加した。骨芽細胞における破骨細胞分化因子(RANKL)の遺伝子発現を調べたところ、培養液のカルシウム濃度の上昇に伴って発現レベルが上昇した。細胞内カルシウム上昇剤も同様にRANKLを上昇させた。免疫抑制剤であるFK506は、カルシウムシグナルによって誘発されるRANKL遺伝子の発現とそれに伴う破骨細胞形成を強く抑制した。FK506はカルシウム依存的シグナル伝達物質であるカルシニューリンの活性化を抑えることから、RANKLの発現にはカルシウム-カルシニューリンを介したシグナル伝達経絡が関与していることが示峻された。これらの総燃は、骨代謝における破骨細胞形成調節にカルシウムとそれによって活性化されるカルシニューリンが非常に重要であることを意味する。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021cbk.html 
キーワード:
カルシウム破骨細胞骨芽細胞

2015年9月18日