2003年
著者:田中喜代次
所属:筑波大学体育科学系

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

要約

血液流動性の低下は、血栓形成を亢進することから循環器系疾患のリスクファクターになる可能性があり、その具体例としてlow-density lipoprotein cholesterol (LDL-C) との関係が指摘されている。牛乳や乳製品に含まれる乳清タンパクは、LDL-Cの上昇を抑制する、または低下させる効果をもっと報告されていることから、牛乳・乳製品を摂取することで血液流動性が改善できると考えられる。そこで、本研究では牛乳・乳製品が血液流動性に及ぼす影響を検討した。対象者は、肥満傾向の中年女性64名であり、食事制限のみで減量するD(diet)群17名、食事制限とウォーキングを併用するDW(diet+walking)群15名、食事制限に加えて牛乳と乳清タンパク(ホエイプロテイン:明治乳業)を摂取するDM(diet+milk)群15名、食事制限に加えて牛乳とホエイプロテインを摂取しウォーキングを併用するDMW(diet+mi1k+walking)群17名に分けられた。教室開始前の食事調査により、牛乳・乳製品から摂取したタンパク質量と血液通過時間(血液流動性)との聞に、有意な負の相関関係がみとめられた。また、減量に伴い血液通過時聞はDM、DMW群で改善する傾向が示されたことから、牛乳・乳製品を摂取することで血液流動性が改善する可能性が示唆された。LDL-Cに関しては、4群とも教室前後で有意な変化はみとめられなかったもののD群以外は減少傾向にあり、牛乳・乳製品の摂取または運動の影響が少なからずあったものと推察される。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021cbk.html
キーワード:
血液流動性牛乳ホエイプロテインLDL-C

2015年9月18日