2002年
著者:齋藤愼一
所属:筑波大学体育科学系

  • 健康科学
  • 高齢者
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

要約

我々はこれまでに、日本人青年男子を用いて日常生活時の総エネルギー消費量(TEE)を二重標識水(DLW)法で測定し、同時に行動記録法(AR)、心拍数法(HR)、加速度計法(AC)の簡易エネルギー消費量測定法によりTEEを推定し、それらの比較からARとHRに比べて、ACが優れていることを明らかにした(海老根ら、2002)。本研究では、 日本人中高齢者を用いた場合でも、上述の結果が得られるかについて検討した。すなわち、 日本人中高齢男性24名(48±10歳)を被験者とし、通常生活中の14日聞についてDLW法でTEEを測定した。その聞の始め3日間はARとHRとACの測定を行い、ACは3日間終了後(3dAC)引き続き14日目まで測定を継続した(14dAC)。その結果、TEEの値は、AR、HR、3dAC、14dACのそれぞれで、1750-3447、1691-5286、171ら2765、1700-2855kca1/dの範囲にあった。TEEの平均値を比較すると、HRの値はDLW法とほぼ同じであったが(HR-DLW:57±603kca1/d; 2%)、AR、3dAC、14dACでは有意に低い値であった。(AR-DLW: -335±289; -12%、3dAC-DLW・-542±249;-19%、14dAC-DLW:-566±223kcal/d; -20%)。DLW法とAR、HR、3dAC、14dACの相関係数は、それぞれ0.76、0.67、0.78、0.83であった。一方、HRの個人変動(CV:15±11%) は他の推定法に比べて有意に大きかった(AR、3dAC、14dAC:7±4%、7±5%、8±3%)。また、Bland and Altmanプロットを用いて、DLW法に対するグループ毎の変動を考慮した場合にも、HRの変動は他の推定法に比べて大きかった。おもしろいことには、3dACと14dACには高い相関が認められ(r=0.97)、それらの平均値の差はわずか24kcal/dにしかすぎなかった。これらの結果から、日本人青年男子を用いた以前の研究と同様に、中高齢者を用いた場合でも、簡易エネルギー消費量測定法としてのACは集団でも個人のレベルでもHRに比べ優れていることが明らかになった。なお、ACはエネルギー消費量を低く見積もりがちであるが、DLW法との較正式を用いることにより修正可能である。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dl2.html
キーワード:
運動習慣二重標識水法簡易エネルギー消費量測定器

2015年9月18日