2002年
著者:奥恒行
所属:県立長崎シーボルト大学看護栄養学部

  • 健康科学
  • その他

要約

本研究では、現代人の若い被験者は乳糖に対する腸内細菌の資化性が高いという仮説のもとに、ヒトに乳糖および他の難消化吸収性糖質を10g-30g摂取させ、血糖、血清インスリンならびに呼気水素ガス排出量からラクターゼ活性と乳糖利用能を観察した。さらに、手術時に摘出された小腸組織を用いて日本人のラクターゼならびに他の二糖類水解酵素活性がどのような状態であるかを観察し、ラットのそれと比較・検討した。さらに、ラットへ乳糖または難消化性オリゴ糖・糖アルコール含有飼料を摂取させて馴化させ、適応による小腸粘膜ラクターゼ活性への影響ならびに腸内細菌による乳糖の発酵分解性について検討した。
その結果、日本人の乳糖の消化吸収能は1回10g前後と推定された。それ以上に摂取した乳糖は腸内細菌によって発酵分解されることが明らかになった。日本人60歳前後の小腸ラクターゼ活性は回腸では検出限界以下で、空腸下部のそれはスクラーゼ活性の1/5-6、マルターゼ活性の1/24-29であった。さらに、乳糖を継続的に摂取させたラットでは乳糖の資化牲が亢進することから、現代の若者には乳糖を活発に発酵分解する腸内細菌が棲み付いていることが示唆された。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dl2.html
キーワード:
ラクターゼ活性乳糖乳糖利用能呼気水素ガス

2015年9月18日