2002年
著者:高田和子
所属:(独)国立健康・栄養研究所健康増進研究部

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

[目的] 末梢骨での簡便な方法を用いた骨量測定による閉経後の骨量の変化と閉経後の時期による牛乳摂取や運動の影響の遣いを検討する。
[方法] 対象者は、昨年度使用した全国11都道県48町村において骨粗鬆症検診を受診した者から収集したデータベースのうち、1年後に骨量の測定と生活習慣等の問診が行えた者である。解析の対象とした測定方法は非利き手第二中手骨をComputed X-ray Densitometryで測定した群(CXD法)およびDigital Image Processingで測定した群(DIP法)と、踵骨を超音波法で測定した群(QUS法)である。対象者数はCXD群で4地域の304名、DIP群で2地域の945名、QUS群で10地域の471名であった。これらの対象について、骨量の測定と生活習慣の調査を1年後に実施し、閉経後年数別に見た骨量の変化と、閉経後の年数別に牛乳や乳製品の摂取、運動実施による骨量の変化を検討した。
[結果] 第二中手骨のCXD群と踵骨のQUS群では、これまでの研究でDXA法による腰椎の測定で見られた閉経後の変化と同様の変化を示した。しかし、DIP群では閉経後の対象の人数が少なく、検討できなかった。毎日の牛乳摂取により、閉経前では骨量を増加させ、閉経後6年以上の者では骨量の減少を抑制することが示された。運動の効果については、運動の実施のみでなく、牛乳の摂取との組み合わせにより、運動の効果が明確になる可能性が示された。 しかし、閉経後0-5年では、生活習慣との関連が明らかでなく、閉経の有無や閉経後の年数により生活習慣の影響が異なる可能性が示唆された。このことは、今後、介入研究等を行う際に閉経後の年数や骨代謝の状態を考慮する必要があること、骨粗鬆症予防のための効果的な生活指導は閉経の有無や閉経後の時期により異なる可能性があることを示している。


書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dl2.html 
キーワード:
末梢骨骨量牛乳運動

2015年9月18日