乳業用乳酸菌DNAの腸管M細胞を介する免疫活性化機構の解明と同機構を応用した“生体防御食品”の開発研究
2001年
著者:齋藤忠夫
所属:東北大学大学院農学研究科
要約
本研究は乳酸菌由来DNAによる腸管免疫賦活化機構を解明し,機能性DNAモチーフを有する乳酸菌を用いた“生体防御食品"の開発の基礎を築くことを目的とした。その結果,以下に示す知見が得られた。
1.乳業用乳酸菌19菌株より染色体DNAを調整し,マウスパイエル板細胞に対するリンパ球幼若化活性を解析したところ,乳酸菌19菌株6菌株のDNAにおいてその活性が認められ,活性DNAはリンパ球にCD69の発現を誘導した。
2.マウスおよびブタ腸管組織培養による乳酸菌体およびDNAの通過をフローサイトメトリーおよびレーザー顕微鏡を介して解析した。その結果,乳酸菌および乳酸菌活性由来DNAは腸管上皮に付着した後,M細胞を介してパイエル板に浸潤し、免疫担当紙胞と接触することが明らかとなった。
3.L bulgaricus NIAI B6由来のDNAモチーフはパイエル板細胞からのIL-7,IL-10,IL-12,IL-18,IFN-γの産生を増強したことから,活性DNAによる腸管糸サイトカインネットワークの制御が考えられた。
本研究により,乳酸菌DNAモチーフが腸管においてTh1およびTh2系の免疫応答を誘導する事が明らかとなった。また,乳酸菌および活性DNAはM細胞を介してパイエル板に取り込まれ,免疫担当細胞と接触する事により腸管免疫を賦活化することが明らかとなった。本研究で得られた知見は,腸管系サイトカインネットワークを制御するDNAモチーフを持つ乳酸菌を用い,感染症の予防効果を発揮する“生体防御食品”の開発の基礎を築くものと期待できる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dt1.html
1.乳業用乳酸菌19菌株より染色体DNAを調整し,マウスパイエル板細胞に対するリンパ球幼若化活性を解析したところ,乳酸菌19菌株6菌株のDNAにおいてその活性が認められ,活性DNAはリンパ球にCD69の発現を誘導した。
2.マウスおよびブタ腸管組織培養による乳酸菌体およびDNAの通過をフローサイトメトリーおよびレーザー顕微鏡を介して解析した。その結果,乳酸菌および乳酸菌活性由来DNAは腸管上皮に付着した後,M細胞を介してパイエル板に浸潤し、免疫担当紙胞と接触することが明らかとなった。
3.L bulgaricus NIAI B6由来のDNAモチーフはパイエル板細胞からのIL-7,IL-10,IL-12,IL-18,IFN-γの産生を増強したことから,活性DNAによる腸管糸サイトカインネットワークの制御が考えられた。
本研究により,乳酸菌DNAモチーフが腸管においてTh1およびTh2系の免疫応答を誘導する事が明らかとなった。また,乳酸菌および活性DNAはM細胞を介してパイエル板に取り込まれ,免疫担当細胞と接触する事により腸管免疫を賦活化することが明らかとなった。本研究で得られた知見は,腸管系サイトカインネットワークを制御するDNAモチーフを持つ乳酸菌を用い,感染症の予防効果を発揮する“生体防御食品”の開発の基礎を築くものと期待できる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dt1.html
- キーワード:
- 乳業用乳酸菌,DNA,リンパ球幼若化,サイトカイン