2001年
著者:下村吉治
所属:名古屋工業大学共通講座・健康運動科学

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

分岐鎖アミノ酸(BCAA)含量の異なる食餌タンパク質(ミルクカゼインと大豆タンパク質)およびBCAA添加食をラットに4週間与えて、食餌中のBCAA含量が耐糖能、血糖と血清インスリン濃度、腎臓と骨格筋のピルビン酸脱水素酵素(PDH)複合体活性、および肝臓の分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)複合体活性に及ぼす影響を検討した。実験食として、大豆タンパク質食、ミルクカゼイン食、大豆タンパク質食-BCAA(4.75%)添加食、もしくはミルクカゼイン食-BCAA(4.75%)添加食を用いた。ラット体重と摂食量には、全ての食餌群で差は無かった。耐糖能に対する食餌の影響は認められなかったが、血液インスリン濃度は高BCAA食摂取により低下する傾向を示した。よって、高BCAA食摂取はインスリン感受性を上昇する可能性が示唆された。肝臓のPDA活性には食餌による影響が認められなかったが、骨格筋のPDH総括性は、高BCAA食により増加する傾向を示した。この結果は、骨格筋におけるグルコース代謝のキャパシティが高BCAA食摂取により上昇した可能性を示唆しており、PDH活性が浴BCAA食による糖代謝改善のメカニズムに関与すると推測された。肝臓のBCKDH活性は、BCAA摂取量に依存して上昇したので、BCCA代謝に関してラットはそれぞれの実験食に適応していたと推測される。本研究では、高BCAA食摂取により、インスリン感受性が上昇する可能性が礁認されたが、今後さらに高BCAA食摂取の明確な効果を得ることが必要であろう。そのためには、より長期の摂食かインスリン感受性の低下した動物を用いて検討する必要があると思われる。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dt1.html
キーワード:
分岐鎖アミノ酸ミルクカゼイン大豆タンパク質耐糖能

2015年9月18日