2000年
著者:徳山薫平
所属:筑波大学体育科学系

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

生活習慣の改善が骨量を増大する効果は個人の遺伝的素因の遠いにより修飾を受けている。遺伝図子と環境因子の相互作用に焦点をあてて検討するために、男子競泳選手及び体重負荷のかかる運動の男子競技者とその対照として競技歴のない一般男子学生延べ212名の骨密度、ビタミンD受容体遺伝子型(FF、Ff、ff型)、栄養摂取および運動歴を調べた。一般学生や競泳選手に比べて体重負荷のかかる運動の競技者は骨密度が高かったが、運動の影響はビタミンD受容体遺伝子ff型の者では認められず、FF型の者で顕著であった。従って、運動習慣を持たない被験者を対象として行われてきた研究により「高骨密度と関連する」と解釈されていたFF型遺伝子は、「外的負荷の影響を受けやすい遺伝子型」なのではないかと示唆された。また成長期のウエイトトレーニング経験と乳製品の摂取状況が骨密度に及ぼす影響についても相互作用が認められ、ウエイトトレーニング経験の有無あるいは牛乳摂取量の多少単独では骨密度と無関係であったが、牛乳摂取量の少ない被験者群においてはウエイトトレーニング経験者において骨密度が高いという結果を得た。これらの結果は、骨量決定に関わる食事と運動及び遺伝的素因の評価にあたっては、これらの要因単独の効果のみならず、要因の相互作用についての検討が重要であることを示唆している。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021e2i.html 
キーワード:
骨密度乳製品摂取量運動ビタミンンD受容体遺伝子多型

2015年9月18日