2000年
著者:齋藤愼一
所属:筑波大学体育科学系

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

本研究では、運動習慣が骨の立体構造と体積骨密度に及ぼす影響について、40歳代と50歳代の中高年女性テニス愛好家計105名について(実験I)、また骨量がピーク値に至ったと考えられる30歳以降にテニスを開始した愛好家66名と同年齢のテニスをやったことのない一般中高年女性対照者22名について(実験Ⅱ)、pQCT法を用いて、利き腕と非利き腕の骨密度及び立体構造を比較検討した。その結果、
1 実験Iでは、いずれの年代の中高年女性テニス愛好家においても、非利き腕に比べて、利き腕の橈骨の近位部全骨面積が大きく、また遠位部全骨体積骨密度、海面骨体積骨密度が高かった。
2 実験Ⅱでは、30歳以後にテニスを開始したテニス愛好家とテニスをしたことがない対照群ともに、非利き腕に比べて、利き腕の橈骨近位部では全骨面積、皮質骨面積が小さく、全骨骨塩量、皮質骨骨塩量が低く、皮質骨厚は減少し、全骨体積骨密度と皮質骨体積骨密度には差がなかった。また、非利き腕に比べて、利き腕の橈骨遠位部では全骨面積、海綿骨面積が小さく、逆に、海面骨体積骨密度と全骨体積骨密度は高かったが、全骨骨塩量には差がなかった。
これらの結果から、若年からテニスを開始する場合と、最大骨塩量を獲得した後からテニスを開始する場合とでは、テニス運動が骨形態に及ぼす影響に差があることがわかった。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021e2i.html 
キーワード:
運動習慣骨形態体積骨密度運動開始年齢

2015年9月18日