1999年
著者:折茂肇
所属:東京都老人医療センター

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

目的

骨粗鬆症の予防と治療は高齢化が急速にすすむ現在もっとも重要な医学的課題の一つである。骨粗鬆症の臨床研究における困難さの一つは、骨量やその変化、あるいは栄養指導・運動指導、薬物療法に対する反応性が個体間で大きく異なることからもたらされる。これらの個体差の根底に潜むメカニズムを探求し、克服していくことが、これからの骨粗鬆症診療が前進していくために必要である。我々は高齢者を対象とするカルシウムバランススタディーを2度にわたって行い、高齢者におけるカルシウム必要量を求めた。これらの結果は高齢者における1日カルシウム必要量が現在、日本におけるRDAよりも多いことをしめすとともに、高カルシウム食を摂取した場合でも、カルシウム吸収が増加しない一群の集団があることを示した。本研究では、高齢者におけるカルシウム吸収の差をもたらす原因を骨代謝関連遺伝子の多型性を用いて探究した。当初の計画では経口カルシウム負荷テストの結果と骨代謝関連遺伝子の多型性との関連を検討する予定であった。しかしながら、班員との協議で、カルシウムバランス法で得られるカルシウム吸収の度合いと経口カルシウム負荷テストの結巣得られるデータについては未知の部分が多いことが指摘された。このため、計画を変更し、今回の検討ではカルシウム代謝の一面を反映し、骨粗鬆症治療薬選択においても重要な指標となる、尿中カルシウムと骨代謝関連遺伝子多型との関連を検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html 

2015年9月18日