食生活習慣の骨密度変化に及ぼす影響 -山村と漁村の比較疫学調査から-
1999年
著者:橋本勉
所属:和歌山県立医科大学公衆衛生学
はじめに
老人の骨折は骨粗鬆症を基盤としておこり、Quality of lifeを著しく阻害する。骨粗鬆症及びそれに伴う骨折の予防は高齢化社会における重要な課題となっている。発症要因を明らかにし、疾病の自然史を解明することは疾病予防の第一歩となる。
大腿骨頚部骨折の実態に関しては、1987年、1992年と1997年の3回にわたり全国医療施設を対象に郵送調査による大腿骨頚部骨折発生率(Incidence)調査を実施した。その給果発生率は年齢とともに高くなること、70歳をこえると男に比べて女は2倍高くなること、最近の5年毎の発生率の推移は5万3千人から7万6千人、9万2千人とに増加していることを明らかにした。また地域差がみられることからライフスタイルに何らかの要因があることを示唆した。大腿骨頚部骨折に関してはヨーロッパ池中海沿岸諸国との共同研究(MEDOS STUDY)として実施したCase Control Studyにより骨折予防に日本独自のライフスタイルが関与していることを示した。大腿骨頚部骨折のように、骨折すれば必ず医療施設を訪れるような疾患には、実態把握や発症要因解明に医療施設調査やCase Control Studyは可能であるが、ほとんどの無症状のまま発症する椎骨骨折や骨粗鬆症のような退行然変性疾患の発症要因究明には前向き(コホート)研究が不可欠となる。しかしコホート研究には被検者である地域住民の協力は勿論、保健所や町役場、地元医師会の協力が必要となり、コホート研究を継続するのには多大の費用と労力を要し、実施は極めて困難である。幸い、われわれは地域の総合的健康管理を目標に、和歌山県内の背景因子のことなる農山村、漁村にコホートを設定することが出来た。
本研究は1999年から2000年にかけて濃山村では10年間、T町では7年目の骨密度測定の追跡調査を現在実施中である。平成10年度は漁業の町の成績のみを報告したが、今回は農山村の成績を中心に漁業の町を比較して報告する。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html
大腿骨頚部骨折の実態に関しては、1987年、1992年と1997年の3回にわたり全国医療施設を対象に郵送調査による大腿骨頚部骨折発生率(Incidence)調査を実施した。その給果発生率は年齢とともに高くなること、70歳をこえると男に比べて女は2倍高くなること、最近の5年毎の発生率の推移は5万3千人から7万6千人、9万2千人とに増加していることを明らかにした。また地域差がみられることからライフスタイルに何らかの要因があることを示唆した。大腿骨頚部骨折に関してはヨーロッパ池中海沿岸諸国との共同研究(MEDOS STUDY)として実施したCase Control Studyにより骨折予防に日本独自のライフスタイルが関与していることを示した。大腿骨頚部骨折のように、骨折すれば必ず医療施設を訪れるような疾患には、実態把握や発症要因解明に医療施設調査やCase Control Studyは可能であるが、ほとんどの無症状のまま発症する椎骨骨折や骨粗鬆症のような退行然変性疾患の発症要因究明には前向き(コホート)研究が不可欠となる。しかしコホート研究には被検者である地域住民の協力は勿論、保健所や町役場、地元医師会の協力が必要となり、コホート研究を継続するのには多大の費用と労力を要し、実施は極めて困難である。幸い、われわれは地域の総合的健康管理を目標に、和歌山県内の背景因子のことなる農山村、漁村にコホートを設定することが出来た。
本研究は1999年から2000年にかけて濃山村では10年間、T町では7年目の骨密度測定の追跡調査を現在実施中である。平成10年度は漁業の町の成績のみを報告したが、今回は農山村の成績を中心に漁業の町を比較して報告する。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html