1999年
著者:高野健人
所属:東京医科歯科大学医学部公衆衛生学講座

  • 健康科学
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

はじめに

骨密度の増大期にある青年期の骨密度には、成長期の牛乳摂取ならびに運動頻度が関与することが指摘されている。また、小児期にカルシウムを多く摂取することが、将来の骨密度増大に影響することが明らかにされており、小児、成長期のカルシウムの摂取状況と骨密度との関連性が示唆されている。しかし、小児、成長期に関する研究のほとんどは、DXA法、SPA法といったX線による骨密度測定法による横断研究であり、健康な子どもの集団を対象として解析を行う分析的疫学研究にはなじみにくかった。
一方、小児の骨折頻度が増加傾向にあるのではないかということが近年指摘されるようになり、子どもの生活習慣の変化に伴って骨が脆弱になっているのではないか、将来の骨粗鬆症発症リスクが増大するのではないかという観点から、危惧されるようになってきた。
子どもの骨折の増加要因として、特にカルシウム摂取量の不足、スポーツ習慣、子どもとその母親の食生活やその他の生活習慣の変化、子どもをとりまく生活環境の変化などの要因が考えられるが、子どもの骨折や骨密度と成長の関連性ならびに子どもの骨密度の変化と食生活や運動、スポーツとの関連性を実証疫学的な研究に基づいて明らかにする必要がある。
本研究では、東京都内に居住する子ども700人を層化無作為法により抽出して健康ライフスタイルコホート集団とし、この集団を追跡して小学校1年生の子どもの骨強度を小児脛骨皮質骨超音波伝播速度計測システムにより計測し、子どもの身体発達、栄養および運動スポーツ、その他のライフスタイル、ならびに母親の脛骨皮質骨超音波伝播速度、身体計測値、現在および過去の栄養および運動スポーツとその他のライフスタイル、家庭の社会経済状況、主な居住場所の住居環境を調査した。結果を解析し、小学校低学年児の脛骨皮質骨成長を促進する条件をスポーツと栄養ならびに家族のライフスタイル要因の観点から考察した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html 

2015年9月18日