1999年
著者:熊谷修
所属:東京都老人総合研究所

  • 健康科学
  • その他

要旨

高齢期の健康問題は経時的に進行する老化を基盤とした心身の機能低下と深く関わっている。したがって、高齢者の健康の維持増進の手段として、心身の老化そのものを遅らせる方法の開発が必要さとなる。
本研究の目的は、高次生活機能が自立した地域在宅高齢者を対象に展開された考化を遅延させるための学際的な介入プログラムが食品摂取習慣と身体の栄養指標におよぼす効果を評価することにある。
介入プログラムは、秋田県南外村の行政と共同運営し、地域在宅の自立高齢者全体に介入した。介入プログラムには、低栄養予防のために牛乳飲用習慣の普及啓発活動を網羅した。2年間の介入の結果、地域高齢者の食品摂取習慣ならびに身体の栄養指導が改善され、身体の栄養状態が向上し、老化の進行の遅廷が認められた。さらに、介入により牛乳摂取頻度が維持あるいは増加した群では血清コレステロールが増化し、減少した群では低下していた。高齢期の適正な血清コレステロール値を維持するうえで牛乳の摂取が有効であることが示された。地域高齢者の大規模な縦断研究では、適正な血清コレステロール値を維持することが抑うつ傾向を予防することを示している。牛乳飲用が高齢期の心身の健康の維持増進に寄与することが示された。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html

2015年9月18日