1998年
著者:佐藤祐造
所属:名古屋大学総合保健体育科学センター

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

研究目的

骨粗鬆症は骨代謝異常に基づく過度の骨喪失およびそこから生ずる骨折をその特徴とする疾患である。生理的には閉経後の女性に、また病的には糖尿病において著しく高い疾病率が認められている。骨粗鬆症の予防に関して、牛乳、カルシウムおよびビタミンDの摂取量と骨ミネラル含量との間には正の相関関係があるとの報告が多いが、否定的な報告もしばしばなされており、現在のところ一致した見解は得られていない。一方、身体運動は骨増量の強い刺激因子であり、身体活動度は骨密度と強く関連しているという報告が多くみられる。そこで我々は、カルシウムおよびビタミンDを豊富に含む牛乳の長期摂取および身体トレーニングの骨粗鬆症発症予防および進展抑制に対する有用性の評価を行った。
疫学的研究ではK市健診センターにおける骨粗鬆症検診のデータを用いて、食生活や運動習慣等の生活習慣が骨密度に及ぼす影響についての検討(疫学的研究l、2)を行った。K市健康管理センターでは骨粗鬆症検診の結果をもとに、骨粗鬆症の予防および改善を目的とした生活指導も同時に行っている。生活指導の主な目的は、牛乳をはじめとするカルシウム高含有食品を積極的に摂取すること、および運動習慣を持つなど日常生活における身体運動量を増やすことにある。そこでK市健康管理センターで、行っている骨粗鬆症検診の2回目受診者を対象に、初回受診時に行われた生活指導が、受診後の生活習慣の変容および、骨密度に及ぼす効果について検討を行った(疫学的研究3)。
動物実験では、卵巣摘出および糖尿病が骨代謝および骨密度に及ぼす影響に関する検討(実験動物1)、骨成長期における牛乳摂取が健常および卵巣摘出糖尿病ラットの骨密度に及ぼす影響に関する検討(実験動物2)を行った。また、継続的な骨密度の観察を行うことにより、牛乳摂取が骨成熟前から成熟後に至る骨密度増加に及ぼす影響について検討した。さらに、牛乳摂取が卵巣摘出(OVX)後の骨密度低下に及ぼす影響について検討した(実験動物3)。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021epa.html 

2015年9月18日