1998年
著者:須田立雄
所属:昭和大学歯学部生化学

  • 健康科学
  • その他

はじめに

抗クル病因子として発見されたビタミンDは、その後の研究によって肝臓と腎臓で2段階の水酸化を受けて生成する活性型ビタミンD[1α,25(OH)2D3]によって、その作用が発現することが明らかになった。1α,25(OH)2D3の作用は細胞内に存在する特異的結合タンパク質(受容体)との結合を介して発現することから、現在ではステロイドホルモンの一種と考えられている。従って、1α,25(OH)2D3の作用は内分泌器官である腎臓での合成と、その標的器官に存在する受容体との結合という2段階で作用の調節がされている。これまでに、ビタミンDの代謝酵素として側鎖の25位を水酸化するビタミンD25-水酸化酵素と25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D3]、ならび、に1α,25(OH)2D3の24位を水酸化する1α,25(OH)2D3-24-水酸化酵素が精製・クローニングされているが、活性型ビタミンDの合成に関して最も重要な25(OH)D3-1α-水酸化酵素は、細胞内含量が極めて低いことから精製が困難とされてきた。我々は、これまでにクローニングされているビタミンD-25-水酸化酵素ならびに1α,25(OH)2D3-24-水酸化酵素が、共にミトコンドリア型シトクロムP450であることに着目して、遺伝子工学の手法を用いて25(OH)D3-1α-水酸化酵素遺伝子をクローニングし、その発現調節機構を明らかにしたので報告する。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021epa.html

2015年9月18日