骨の発生および加齢に及ぼすカルシウム調節因子に関する形態学的、分子細胞生物学的研究
1998年
著者:小澤英浩
所属:新潟大学歯学部口腔解剖学
本研究課題に関連する研究状況と重要性について
主に骨や歯などの硬組織にリン酸カルシウムの形で貯蔵されるカルシウムは、カルシウム調節ホルモンの制御下で骨と腎臓を中心に血中カルシウムの調節が行われる。血清中のカルシウムは、単に骨の構築材として存在するのではなく生体機能のもっとも基本的な必須ミネラルであり、生物学的重要性は極めて高い。そのため、骨代謝やカルシウム代謝に関与するホルモンや局所因子の内分泌学や発生学などの広い分野において中心的な研究解題となっている。カルシウム調節因子としては、副甲状腺ホルモン(PTH)、カルシトニン、活性型ビタミンD、エストロゲンなどが体液性因子として知られており、その標的細胞は主に骨と腎臓に存在する。カルシウム調節機構解明のためには、それら細胞の分化増殖およびその調節因子を明らかにする必要がある。本研究課題であるカルシウム調節因子と骨の発生や加齢に伴う骨代謝調節の変化に関する研究は、臨床的にも重要性が極めて高いと考えられる。特に副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHRP)、PTH/PTHRPレセプタービタミンDレセプターなどの遺伝子を欠損したマウス、あるいはそれらカルシウム調節因子を過剰産生するマウスなどの開発が盛んに行われており、すでに中間報告でも記載したとおり、我々の研究室でも様々な遺伝子欠損マウスを用いた解析が行われている。平成9年度から10年度にかけて行ったカルシウム調節因子と骨の発生と加齢に関する研究は、日本骨代謝学会、アメリカ骨代謝学会を含めた多くの学会や、また国際雑誌において評価を受けている。このような研究成果は単に基礎研究分野にとどまらず、臨床医学的にも必要な研究であり、さらには健康増進や疾患に対する抵抗性の維持にもつながるものと考えられる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021epa.html
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