1995年
著者:熊谷修
所属:東京都老人総合研究所地域保健部門

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

高齢者の寝たきりの原因として骨折が注目されており、その予防の手立てを確立することは急務である。骨の強さすなわち骨密度を規定する要因の中でカルシウム摂取量は重要な要因の1つである。中高年の集団を対象としたカルシウム摂取量と骨密度との関連をみた先行研究は、女においてカルシウム摂取量と骨密度の間に有意な正の相関があることを示している。しかし、これらの成績はおもにカルシウム摂取量が著しく異なる地域集団(Inter-population)を比較し分析したものである。これに対し、社会背景が同一の地域内の集団(Intra-population)で有意な関係を認めた成績は極めて少なく、わが国ではない。骨折予防のための食生活への介入の意義を明確にするうえで、同一地域内の集団におけるカルシウム摂取量と骨密度の関係も明確にする必要がある。骨密度の減少期に達した集団を調査対象とすることでその介入意義はいっそう高められる。
骨密度の低下予紡を目的とした介入研究では、カルシウム摂取量を増加させそれを維持するためカルシウム製剤がしばしば選ばれる。しかし、食生活に介入し骨折予防を目指すとき、カルシウム補給源として骨密度の低下予防に寄与する有用な食品鮮を特定することが介入プログラムを立案するうえで必須となる。
本研究の目的は、同一地域内の65歳以上の高齢者を対象に骨密度と栄養素摂取状況を調査し、カルシウム摂取量ならびに牛乳・乳製品摂取量と骨密度との関連を分析することにある。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html 

2015年9月18日