牛乳由来蛋白・ペプチドによる細胞増殖、文化、アポトーシス誘導の分子機構
1995年
著者:野澤義則
所属:岐阜大学医学部生化学教室
要旨
牛乳は健康食品として古くより知られており、乳幼児の成長にとって必要な骨形成に重要な成分を含むことが知られている。また、栄養食品としてばかりではなく、主蛋白質カゼインやラクトフェリンの分解産物は多くの生理活性物質を含み、細菌感染防止、免疫賦活、細胞増殖・分化・アポトーシスに有効であることが報告されている。しかし、それらの物質の化学的実体や作用機構については十分明らかにされていない。牛乳成分の有効性の検索には細胞レベルでの検討が重要であり、本研究では、各種細胞系を用いて細胞増殖・分化・アポトーシス誘導機構を検討した。牛乳蛋白カゼイン由来ペプチドは免疫賦活作用を有することを明らかにし、その有効成分の単離・精製および同定を行なった。カゼイン由来低分子ペプチドは顕著な免疫賦活作用を示し、また、がん細胞増殖抑制効果を認めた。さらに、牛乳蛋白のトリプシン分解物による細胞増殖・分化・アポトーシス誘導を各種細胞系を用いて検討し、骨芽様細胞MC3T3-E1の増殖抑制、分化誘導と、ヒト骨随巨核芽球性白血病細胞株Meg-O1のアポトーシス誘導を示唆する所見が得られた。これらの細胞機能発現に関与する機構を明らかにするために、蛋白質リン酸化系を中心に細胞内情報伝達経について検討した。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022lsv.html
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